大賞

三上 八郎さん 79歳  静岡県

100m・14秒72、やった!
東京都代表選手選考会・五年女子二位。
とことんけっぱれ、それがジイちゃんの願いだ。
アミナが、ガーナ生まれのパパと
同じ顔色をして生まれてきたときは、
びっくりした。
だが、父親ゆずりの長い足と、
オレに似たクソ度胸でここまできた。
アミナは何でも食べるから、
ジイちゃんは喜ぶのだ。
黒はんぺんも、おからの炊いたのも、
鯖の味噌煮も大好きだったな。
夏休みは沼津へおいで、小アジを釣ろう。


 

佳作

山根 康輔さん 8歳  山口県

ぼくのじいちゃんが天国に行ってしまった。
おばけになっても帰ってきてほしい。
お母さんに言ってみた。そしたら
「じいちゃんおばけになる方法知らんと思う。」
お母さんは言った。
かみ様 ぼくのじいちゃんに
おばけになる方法をおしえてください。
一日だけでもいっぱい遊んで話して
今までありがとうと言いたいです。


 

 

平松斗輝さん 10歳  大阪府

僕の夢は釣りのプロになることだ。
3才くらいから魚をつかんだりして
魚が好きだからです。
5才くらいから釣りを始めました。
自分で仕掛けを作って自分で作った仕掛けで
魚が食った時に竿がビクビクとなります。
だからといって釣れるとはかぎりません。
なぜかというと魚もかしこいので、
エサだけとって逃げてしまいます。
その時はもう一度釣ってやりたいと思います。
だから終わりがないです。


 

 

綿本 優太さん 10歳  奈良県

大切な友だちなのに、我慢できずに喧嘩してしまった。
心臓がドクンとして痛い。
謝りたい気持ちと謝ってきてくれるかなという期待が行き交って、
決心がつかない。
本当はいつもみたいに戻りたいのに、
決心がつかなくて嫌になる。
もし、まだ怒っていたらどうしよう。
泣いてしまうかも知れない。
でも……「いいよ。」と言ってくれると願って、そして明日こそ
「ごめんな。」
と言える勇気が出せますように……。


 

 

今福 直希さん 14歳  福岡県

母ちゃんへ
母ちゃんに一つだけお願いがある。
こづかいを上げてくれ。
一度でいいから上げてくれ。
ちょっとでいいから上げてくれ。
お願いだ。
うまい棒もろくに食べれません。


 

 

風岡 祐次さん 38歳  神奈川県

一世一代の勇気を出して、
彼女を花火大会に誘った。
返事はOK! 心の中ではすでに、
何万発も打ち上げてしまった。
つまらなかった人生が、
彼女に出会って変わった。
頭の中はいつも彼女の事でいっぱい。
会う時はいつもドキドキしてしまう。
こんな気持ちになるなんて思ってもみなかった。
何て楽しいんだろう。
四十手前の中年男の本気の恋。
笑いたい奴は笑え。
明日が花火大会。どうか晴れますように。


 

 

福島 身世さん 42歳  埼玉県

「ママ」になりたい。
乳児院にいるあなたと私は「縁」があって
もうすぐ家族になります。
あなたは覚えたての言葉で「ママ」って
時々呼んでくれるけど
「ママ」がどんな存在かわかっているかな。
「ママ」っていつでもどんな時でも、
どんなあなたでも
大好きで抱きしめたいと思っている人だと
「ママ」は思っているよ。
神様。
私は未熟な人間ですが いつの時もずっと
「あなたのママ」でいられますように。


 

 

秋山 ゆかりさん 50歳  千葉県

今年の春、息子は一人暮らしを始め 家を出た。
息子の部屋を片付け中に見つけた、
一枚の折り畳まれたオレンジ色の紙切れ。
開いてみると、
縦に細長い紙にこう書かれていた。
『親の気前が良くなりますように』
小学校高学年の頃だろうか。
吊るし忘れた短冊らしい。
夫と顔を見合わせ吹き出した。
一言の願いであれば叶えてくださる神様!
願いはこちらの方です。
『息子よ、一人暮らしで節約を学んでおくれ』


 

 

長谷川 美津子さん 71歳  福岡県

明日あしたね」の約束は70年経ちましたが 
母が天国で次兄に団子を一つ
食べさせてあげることが出来ますように
昭和20年8月長兄六才と次兄四才は
共に赤痢で
薬もなく小麦粉を練った団子がやっと二つ。
重かった長兄の方に二つとも食べさせていた母に
次兄が「僕にも一つ」と懇願したそうですが
「明日ね 今日は我慢して」
と諭すと涙を浮かべ
「うん」と一言
その夜に急変
昨年98才で亡くなった母の願いは
天国で会えたら
「お団子を一つあの子の口へ」


 

 

村岡 美佐男さん 75歳  福島県

お袋よ、
ガンコ親父と飯豊山いいでさんの遥か上の青い空で
仲良く暮らしているかなぁ
俺か? 俺はさすけねぇ。
60の手習いで始めた津軽三味線、
最近は介護施設から演奏の依頼もくるんだょ。
みんな三味線の音色を聴くと目が輝くんだ。
俺より上手い三味線弾きは沢山いる。
でも俺は全員を俺の親父とお袋だと思って演奏してるんだ。
みんなが安心して長生きできる世の中で、あったらいいなぁ……。


 

 

村上 多慶子さん 88歳  京都府

旦那様へ
あなたが亡くなってはや三十年になりますね。
私は八十八才にもなり 
町の方の家で一人元気で自由に
静かに暮らしています
あなた、もういつお迎えに来て戴いてもいいですよ。
準備は出来ています。
でもねー。
明日は来ないでくださいね。
明後日も来ないでくださいね。
明明後日も来ちゃいやですよ。
またお手紙します。


 

日本郵便大賞

川上 直子さん 12歳  東京都

88年分の便箋と切手をください。
大好きな友との文通は最近あったことや聞いて欲しいことを
文と少しのイラストで何枚も書く。
私たちの文通は多分、おばあちゃんになっても続くよ。
ちっぽけなことも 大切なことも 
全部あなたに100歳になるまで、
私の文字で伝えたいな。


 

 

碓氷 晴佳さん 19歳  兵庫県

ねえパパ、ママ今どうしてるかな
元気かな 幸せに暮らしてるかな
あの頃はとても悲しくてママに会いたいって 毎日毎日泣いてた
でも今は、
どこかで幸せに生きててくれたらって
ただそれだけを願ってる
他の家族を見て羨ましくなることもあるけれど、
でも、私にはパパや弟がいるから もう泣かないよ
いつか私が結婚する時、パパは泣くのかな
今まで見たのは私や弟に「ごめんな」って謝る涙
だから今度は「おめでとう」って泣いてほしいな


 

 

若色 茜さん 34歳  栃木県

お父さん、会う度に小さくなっていくね。
昔は威厳があって、そばにいるだけで怖かった。
一段飛ばしで駆け上っていた階段、
今ではエレベーターだなんて信じられない。
一発で決めていた駐車も、
最近ではやり直すことが増えたよね。
何か言いかけてやめちゃうの、
私、気付いてたよ。
明日、久し振りに帰ろうかな。
そしたら、ろくに連絡もしない不出来な娘を
叱り飛ばして下さい。
玄関で仁王立ちして怒鳴りつけた
あの日のように。


 

 

笠原 正宏さん 53歳  茨城県

昔、ワガママ言う君らに怒った妻が
夕食作りをボイコット。
食卓に置かれた納豆3個。
トイレに籠る妻。
それから父子三人無言の食事。
ふいに息子がリュックを背負う。
黙って出て行き戻ったその手に弁当一つ。
トイレの前へ。
食べないと死んじゃうと弁当差し出す小一男子。
号泣するトイレの女神。
娘も加わり大合唱。
以来今日この日は家族で弁当分け合う日。
君たち、長い間ありがとう。
これからは君らの記念日、見つけてほしい。


 

 

須藤 扶美子さん 53歳  宮城県

二階の窓からあなたを眺めるのが好きだった。
辺りが静まる夜に繰り返される波の音に癒された。
学校も町も、家も庭に咲いた花も、
子どもたちの笑い声も、みんなみんな、
あなたの元へ流れていってしまった。
「石巻へ帰りたい」
いつの間にか、私より小さくなった母がそうつぶやく。
もう二度とあの場所に戻れないのならせめて
あなたの元に眠る人たちを愛する人たちの元へ、帰してください。
どうか。


 

 

篠原 正子さん 63歳  佐賀県

神様が
息子の障害を取り除いて下さると言っても
やっぱり嫌だ!
すっかり別人の顔、体、心になってしまったら
やっぱり嫌だ!
息子に手を焼いても 私を泣かせても、
今のままの息子でいい。
神様、どうぞお願いです、
明日も私の息子として 
ずっと生かさせて下さい。


 

 

吉村 幾子さん 66歳  北海道

あと何万回料理をすることができるだろうか。
あと何万回、美味しく食べてもらえるだろうか。
夫婦が、たまに来る子供たちが 
元気でなければ成立しない小さな幸せ。
お願い!
少しでも長く食事を作ることができますように。
我が家のモットーは
「愛は胃から」なのですから。
夫も私も癌という爆弾を抱えて、
結婚四十年を迎える。
家庭料理は、
家族の歴史のポストイットのようなもの。
枚数が増えると思い出も多くなる。


 

 

横山 俊裕さん 71歳  東京都

七年前の今日、
三年間の苦しい闘病生活を終え、
妻が旅立った。
一段落して妻のベッドを片付けていると、
「もし生まれ変わったら、また結婚してくれますか」
と記されたメモを見つけた。
力のない震えた文字が愛おしかった。
「もちろん」
と、生きている妻に応えたかった。
伝えたい言葉がたくさんあったのに。
見せたい絵も、聴かせたいジャズも、行きたい街も。
神様、お願いです。
「僕の方こそお願いします」
と、必ず妻に伝えて下さい。


 

 

大谷 江晏さん 72歳  埼玉県

沙羅、研修は無事に終えただろうか。
小柄で華奢な君が馬や牛の尻に肩まで腕を突っこむなんて
お父さんにはまだ信じられない。
君が東京から帯広の大学に行くと決めたとき、
寂しかったけれどうれしかった。
君はずっと馬が好きだったからね。
今、獣医として君がペット病院よりも十勝の山間の農業共済を選んだことも、
心配だけど少し誇らしい。
いつかその小さな町に会いに行くよ。
逞しくて優しい獣医さんになれるといいね。
                     父


 

 

いけだ さぶろうさん 80歳  神奈川県

ブリスベンの砂浜に転がしてもらって、
潮騒に海の香、砂に頬ずり。
芋虫ごろごろ。動ける、進める。
オーストラリアの大地を、
この両手でしっかと掴む、握る。
よいやさ、と腕立て伏せ五〇回。
できる、やれる。
仰ぎ見る南十字星と、さんざめく満天の星たち。
涙ぼろぼろ。
車イスだって芋虫だって、
生きてるってすばらしい。
諸手をあげて大宇宙に叫ぶ。
ありがとう、ありがとう、
みんなみんなありがとう。

車イスの神さま?
いらっしゃるなら、これからもよろしくお願いします。


 

郵便名柄館賞

藤原彩羽さん 6歳  広島県

「大すきなパパへ」
パパって、あんまりおうちにいないね。
もっといっぱいあそびたいのに。
かいしゃでなにしてるの?
わたし、とってもとっても小さくなれたらいいな。
そしたら、パパのポケットに入って
いろんなところへついてくの。
それで、パパがつかれてたら
「ガンバレ!」っていってあげる。


 

 

茂木 愛里さん 13歳  東京都

私の五年とお爺ちゃんの一年を、
同じ速度で生きさせて下さい。
十三歳の私と七十六歳のお爺ちゃん。
もっともっと、沢山の時間を、お爺ちゃんと過ごしたい。
なんでもない日常を一緒に過ごしたい。
最近お爺ちゃんは、よく病院に行くし少しやせた。
お爺ちゃんは私が生まれてすぐに、私を宝物にしてくれた。
私もお爺ちゃんが宝物。
あと五年経てばお世話ができる。
あと十年経てばもっと恩返しができる。
私とお爺ちゃんに時間を下さい。


 

 

小澤 美法さん 14歳  東京都

誰かと比べて下を向く事
誰かに高い評価をされようとする事
自分より下を見つけて自信を持つ事

いつの間にかやめられなくなった他者との比較
比較という名の麻薬のせいで
自分の本当の美点が隠れきっている

一度頭をリセットし自分の良さに気づいて自信をもって
全ての人が自分の色に輝ければ良いな
明日は皆、自信に満ちた笑顔でありますように


 

 

松坂 悠希乃さん 16歳  岡山県

最後に会ってから7年が経つけどなんしょん?
電話もしてこん、メールもしてこん。
いやいや、あたしのこと 忘れたん?
記憶にない?
あたしはずーっと待ちょんのに。💢
養育費だけ払やあええゆうもんじゃないんで!?
もう、どこで会っても分からまあ?!
子どもの顔も分からん父親とか本真情けないで。
…。強がっとるけど本真は会いたいんよ、お父さん。
あたし もうすぐ17才になるで。


 

 

高木 智章さん 29歳  東京都

東京に出て10年になる。
都会で「頑張る」のは当たり前。
みんな頑張ってる。
なかなか芽が出ない。
生活が行き詰まった。
親に電話をした。
「東京でのたれ死にしたいのか!」と怒られた。
家を出たことを怒られたんじゃない。
「もっと早く助けを求めろ」(親はいつまでも親だから)
意地はって、声を聞くのは久しぶりだった。
涙が一気に溢れてきた。
いつか成功したら、世田谷に馬鹿でかい家を建てて、
プレゼントしたい、猫つきの。


 

 

福澤 政美さん 60歳  熊本県

明日への願い
雪深い山陰から熊本に嫁して三十五年が過ぎました。
その間ずっと雪を恋しく思っていました。
桜の花も過ぎた四月十六日の未明、
熊本は大きな地震に見舞われ、
大地はいつまでも揺れました。
今も深く傷ついている山や田畑、雄々しく立ち続ける熊本城を、
一日だけ、やさしい雪ですっぽりと覆ってほしいのです。
清められ、包まれて、また再生していく熊本を
心に刻んで歩いて行きます。


 

 

松村 眞澄さん 61歳  神奈川県

朝焼けの空が一日の始まりを告げる。
ぎらぎらと照りつける太陽の下で
玉のような汗をかいて畑仕事をする。
水筒の水がごくん、ごくんと喉を下っていく。
川原の風が汗をぬぐってかけていく。
涼風を肺いっぱい吸って深呼吸する。
赤トンボがスイスイ飛んで、蛙がはねる。
日がだんだん短かくなって仕事を終える。
夜空には、星がまたたく
こんななんでもない日常が明日もあさっても
続いていくことを願う。


 

 

小山 しず枝さん 62歳  山口県

孫たちへ
ばあちゃんは、走ることが好きです。
これは、ばあちゃんの父さんの遺伝かな。
5年前に走り始めた頃は、フラフラ。
秘密練習で、やっと5キロ走れる足になりました。
アブナイって言う人もいるけど、年寄りは年寄りらしく
という生き方は、まっぴらごめん。
ところで、お願いがあるんだ。
いつの日か「ばあちゃんと一緒に走ろう」と言う子が
表われたら最高だな。
関門海峡の潮風に吹かれて、並んで走るその日まで、
ばあちゃん、走りはやめないよ。


 

 

吉本 浩三さん 69歳  大阪府

妻が58歳で早世して、早や10年。
妻は古道めぐりが好きで、二人でよく大和の地を訪ねました。
妻への追慕の念をつのらせる時に、
葛城古道をめぐった記憶がよみがえります。
今でもきっと、妻は葛城の空を「天の風」になって、
めぐっていることでしょう。
そこで願わくは、古道の地を一人めぐる私と、
その空をめぐっている妻とが、葛城の地で
めぐり逢えますように、と。
「葛城をめぐる薫風 妻のにほいをはこばせしがな」
                      合掌


 

 

江川 稔さん 73歳  神奈川県

女房の顔、もう一度でいいから見せて下さい。
いちごんさん。これ、女房には、内緒です。
絶対に内緒ですよ。こっぱずかしいんだから。
十年前から、目の障害で段々見えなくなってきたんです。
「とうとう、お前の顔も見えなくなっちゃった」
と言うと、 「あら、良かった。しわくちゃ婆さんの顔だから」
って言うんですよ。
でもね、あの世へ逝く前に、顔、覚えておきたいんです。
向こうへ女房が来た時、
見初めて、またプロポーズしたいんでね。