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第10回(2024年度)

受賞者

受賞作品一覧

大賞

大賞

山浦苑加さん (31歳/長野県)

今日は、3回。昨日は、8回。
私が夜中に子どもたちに起こされた数。
授乳、夜泣き、寝相の悪さ…。
子どもは宝だと思う。
まっすぐに成長していく姿は眩しくて儚い。
でも、眠い。
5・3・0歳とひたすら眠い日々がもう6年ほど続く。
今日はTVリモコンが冷蔵庫から出てきた。
今だけと分かっている。毎日大変だけど幸せ。
でも。お願い。
今夜は寝かせて。
そう祈って今日もやわらかい皆を
ぎゅーっと抱きしめてから寝る。

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選考委員賞

選考委員賞 【五木寛之賞】

【五木寛之賞】 加藤晃子さん (44歳/神奈川県)

一言主の神様へ
いつでも当たり前にそこにあると思っていました。
お正月の地震で故郷の珠洲はすっかり変わってしまい、まるで知らない土地のようです。
若い人もお年寄りも引越す人は多く、残った人は不便な生活をしています。
老いた父は引退した大工箱を肩に乗せ、頼まれては家の修理にでかけます。
実家の屋根は穴の空いたままなのに。
どうか一日も早く、北の海に落ちる夕日を眺め釣り糸を垂らす、平穏で変わらない日々が戻ってきますように。

一言主の神様へ いつでも当たり前にそこにあると思っていました。 お正月の地震で故郷の珠洲はすっかり変わってしまい、まるで知らない土地のようです。 若い人もお年寄りも引越す人は多く、残った人は不便な生活をしています。 老いた父は引退した大工箱を肩に乗せ、頼まれては家の修理にでかけます。 実家の屋根は穴の空いたままなのに。 どうか一日も早く、北の海に落ちる夕日を眺め釣り糸を垂らす、平穏で変わらない日々が戻ってきますように。

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一言主の神様へ いつでも当たり前にそこにあると思っていました。 お正月の地震で故郷の珠洲はすっかり変わってしまい、まるで知らない土地のようです。 若い人もお年寄りも引越す人は多く、残った人は不便な生活をしています。 老いた父は引退した大工箱を肩に乗せ、頼まれては家の修理にでかけます。 実家の屋根は穴の空いたままなのに。 どうか一日も早く、北の海に落ちる夕日を眺め釣り糸を垂らす、平穏で変わらない日々が戻ってきますように。
選考委員賞 【村山由佳賞】

【村山由佳賞】 栗田豊彦さん (79歳/京都府)

君が亡くなって二年か、
考えてみたら五十年一緒やった、
良い事も沢山有った、悪い事も沢山有った。
けど良い事の方が少し丈多かったんと違うかな。
今年三回忌済んで今迄棚に置いていた骨壺を墓に入れる心算(つもり)やったが お前は暑がりで寒がりで考えたらやっぱり入れなかった
そしてお前が好きやった本のブックサンドみたいになってる。
お蔭でこうして毎日 喋る事が出来る。
これからも、いつも靴下履かせてくれた優しい方の顔で喋ってな。 
    合掌

君が亡くなって二年か、 考えてみたら五十年一緒やった、 良い事も沢山有った、悪い事も沢山有った。 けど良い事の方が少し丈多かったんと違うかな。 今年三回忌済んで今迄棚に置いていた骨壺を墓に入れる心算(つもり)やったが お前は暑がりで寒がりで考えたらやっぱり入れなかった そしてお前が好きやった本のブックサンドみたいになってる。 お蔭でこうして毎日 喋る事が出来る。 これからも、いつも靴下履かせてくれた優しい方の顔で喋ってな。      合掌

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君が亡くなって二年か、 考えてみたら五十年一緒やった、 良い事も沢山有った、悪い事も沢山有った。 けど良い事の方が少し丈多かったんと違うかな。 今年三回忌済んで今迄棚に置いていた骨壺を墓に入れる心算(つもり)やったが お前は暑がりで寒がりで考えたらやっぱり入れなかった そしてお前が好きやった本のブックサンドみたいになってる。 お蔭でこうして毎日 喋る事が出来る。 これからも、いつも靴下履かせてくれた優しい方の顔で喋ってな。      合掌
選考委員賞 【齋藤 孝賞】

【齋藤 孝賞】 久本伊織さん (9歳/埼玉県)

「タダよりこわい物はない」
と、ママいつも言っています。
道で配るティッシュもショッピングモールのビンゴも、タダのものはこわいからと言ってもらわないしやらせてくれません。
でもお兄ちゃんは、商店街のむ料じゅくに通っています。
来年からぼくにもそこに、通いなさいと、言われました。
ぼくは、今からこわくてたまりません。
お母さんおねがいします。
有料のじゅくにしてください。

「タダよりこわい物はない」 と、ママいつも言っています。 道で配るティッシュもショッピングモールのビンゴも、タダのものはこわいからと言ってもらわないしやらせてくれません。 でもお兄ちゃんは、商店街のむ料じゅくに通っています。 来年からぼくにもそこに、通いなさいと、言われました。 ぼくは、今からこわくてたまりません。 お母さんおねがいします。 有料のじゅくにしてください。

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「タダよりこわい物はない」 と、ママいつも言っています。 道で配るティッシュもショッピングモールのビンゴも、タダのものはこわいからと言ってもらわないしやらせてくれません。 でもお兄ちゃんは、商店街のむ料じゅくに通っています。 来年からぼくにもそこに、通いなさいと、言われました。 ぼくは、今からこわくてたまりません。 お母さんおねがいします。 有料のじゅくにしてください。

日本郵便大賞

日本郵便大賞

宮脇彩華さん (36歳/香川県)

書いたけど、まだ出せないはがきがある。
大学の授業の一環で手紙を書くことになり、私は初めて母へ日頃の感謝を綴った手紙を書いた。
横には母が好きなユリの花も描いた。
あれから十数年。まだはがきは私が持っている。
お母さん。
素直になれない娘はまだ時間がかかりそうです。
一枚じゃ全然たりないのにね。
いつか、きっと出すからね。
うん! まずは、このはがきが私の第一歩だ。

書いたけど、まだ出せないはがきがある。 大学の授業の一環で手紙を書くことになり、私は初めて母へ日頃の感謝を綴った手紙を書いた。 横には母が好きなユリの花も描いた。 あれから十数年。まだはがきは私が持っている。 お母さん。 素直になれない娘はまだ時間がかかりそうです。 一枚じゃ全然たりないのにね。 いつか、きっと出すからね。 うん! まずは、このはがきが私の第一歩だ。

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書いたけど、まだ出せないはがきがある。 大学の授業の一環で手紙を書くことになり、私は初めて母へ日頃の感謝を綴った手紙を書いた。 横には母が好きなユリの花も描いた。 あれから十数年。まだはがきは私が持っている。 お母さん。 素直になれない娘はまだ時間がかかりそうです。 一枚じゃ全然たりないのにね。 いつか、きっと出すからね。 うん! まずは、このはがきが私の第一歩だ。
日本郵便大賞

濱島真里奈さん (37歳/愛知県)

小学生の頃に流行ったたまごっち
学校には持っていけないから 
自分で育てたいけど、お母さんにお世話を頼んで「ヘビにしないでよ!」って
あの頃はたまごっちだった
今は娘を保育所に預けて仕事に向かう
働かないと食べていけないから 
生きていけないから
保育士さんにお世話を頼んで
「今日もよろしくお願いします。」って
一つ一つの成長を聞くんじゃなくて 見たいんだ
ほんとは ほんとはね 
わたしの手で育てたい

小学生の頃に流行ったたまごっち 学校には持っていけないから  自分で育てたいけど、お母さんにお世話を頼んで「ヘビにしないでよ!」って あの頃はたまごっちだった 今は娘を保育所に預けて仕事に向かう 働かないと食べていけないから  生きていけないから 保育士さんにお世話を頼んで 「今日もよろしくお願いします。」って 一つ一つの成長を聞くんじゃなくて見たいんだ ほんとは ほんとはね  わたしの手で育てたい

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小学生の頃に流行ったたまごっち 学校には持っていけないから  自分で育てたいけど、お母さんにお世話を頼んで「ヘビにしないでよ!」って あの頃はたまごっちだった 今は娘を保育所に預けて仕事に向かう 働かないと食べていけないから  生きていけないから 保育士さんにお世話を頼んで 「今日もよろしくお願いします。」って 一つ一つの成長を聞くんじゃなくて見たいんだ ほんとは ほんとはね  わたしの手で育てたい
日本郵便大賞

菅間一徳さん (40歳/岩手県)

産まれてくる我が子へ
稲穂が色づいてきました。
就農4年目の秋です。
田んぼの畔に立ちながら、飛ぶように過ぎた日々を思い出します。
百姓の貧しさのなかで、こうやって死んでいくのかと、思い、百姓の豊かさのなかで、こうやって生きてゆくのだと思いながら、今こうして、田んぼの畔に立っています。
僕と妻と、この暮らしを選んで産まれてきてくれるあなたへ
この景色を見せてあげられますように。
もうすぐ稲刈りです。

産まれてくる我が子へ 稲穂が色づいてきました。 就農4年目の秋です。 田んぼの畔に立ちながら、飛ぶように過ぎた日々を思い出します。 百姓の貧しさのなかで、こうやって死んでいくのかと、思い、百姓の豊かさのなかで、こうやって生きてゆくのだと思いながら、今こうして、田んぼの畔に立っています。 僕と妻と、この暮らしを選んで産まれてきてくれるあなたへ この景色を見せてあげられますように。 もうすぐ稲刈りです。

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産まれてくる我が子へ 稲穂が色づいてきました。 就農4年目の秋です。 田んぼの畔に立ちながら、飛ぶように過ぎた日々を思い出します。 百姓の貧しさのなかで、こうやって死んでいくのかと、思い、百姓の豊かさのなかで、こうやって生きてゆくのだと思いながら、今こうして、田んぼの畔に立っています。 僕と妻と、この暮らしを選んで産まれてきてくれるあなたへ この景色を見せてあげられますように。 もうすぐ稲刈りです。
日本郵便大賞

松下浩子さん (63歳/石川県)

「能登はやさしや土までも」の言葉通り、私が新米教員として初めて赴任した輪島は生徒達も純朴で地元の方々も優しかった。
舳倉島に家庭訪問に行った時、生徒が潜ってご馳走してくれた鮑も優しい甘さが最高だった。
以前に大学の恩師が「やさし」は身がやせ細るように辛いという語源だと教えてくれた。
だが、大地震で辛い目に遭った能登は大自然も復興に励む卒業生達も丸ごと皆、本当に優しい。
どうか能登に平穏が戻りますように。

「能登はやさしや土までも」の言葉通り、私が新米教員として初めて赴任した輪島は生徒達も純朴で地元の方々も優しかった。 舳倉島に家庭訪問に行った時、生徒が潜ってご馳走してくれた鮑も優しい甘さが最高だった。 以前に大学の恩師が「やさし」は身がやせ細るように辛いという語源だと教えてくれた。 だが、大地震で辛い目に遭った能登は大自然も復興に励む卒業生達も丸ごと皆、本当に優しい。 どうか能登に平穏が戻りますように。

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「能登はやさしや土までも」の言葉通り、私が新米教員として初めて赴任した輪島は生徒達も純朴で地元の方々も優しかった。 舳倉島に家庭訪問に行った時、生徒が潜ってご馳走してくれた鮑も優しい甘さが最高だった。 以前に大学の恩師が「やさし」は身がやせ細るように辛いという語源だと教えてくれた。 だが、大地震で辛い目に遭った能登は大自然も復興に励む卒業生達も丸ごと皆、本当に優しい。 どうか能登に平穏が戻りますように。
日本郵便大賞

青木昌幸さん (65歳/和歌山県)

妻はNHKのど自慢の大ファンである。
大笑いしたり時には涙ぐんだりしている。
一人で楽しんでくれる分には大いに結構。
しかし何を思ったか、私に出場しろと言いだした。
「お父さん歌が上手やから絶対鐘三つ鳴るわ。私の死ぬまでの夢なんよ。お願い!」
「死ぬまでの夢」をまちがえていないか!?
このままでは応募されてしまいそうである。
神様 どうか地元にのど自慢が来ないようにして下さい。
日曜日のお昼は平和が一番です。

妻はNHKのど自慢の大ファンである。 大笑いしたり時には涙ぐんだりしている。 一人で楽しんでくれる分には大いに結構。 しかし何を思ったか、私に出場しろと言いだした。 「お父さん歌が上手やから絶対鐘三つ鳴るわ。私の死ぬまでの夢なんよ。お願い!」 「死ぬまでの夢」をまちがえていないか!? このままでは応募されてしまいそうである。 神様 どうか地元にのど自慢が来ないようにして下さい。 日曜日のお昼は平和が一番です。

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妻はNHKのど自慢の大ファンである。 大笑いしたり時には涙ぐんだりしている。 一人で楽しんでくれる分には大いに結構。 しかし何を思ったか、私に出場しろと言いだした。 「お父さん歌が上手やから絶対鐘三つ鳴るわ。私の死ぬまでの夢なんよ。お願い!」 「死ぬまでの夢」をまちがえていないか!? このままでは応募されてしまいそうである。 神様 どうか地元にのど自慢が来ないようにして下さい。 日曜日のお昼は平和が一番です。
日本郵便大賞

奥村 功さん (82歳/大阪府)

土曜の夜、すし屋に入る。
注文はタブレットでせえと言う。
まぐろ たこ いか ポンポン押したのはええが
生ビールまちごうてワイン押してもた。
確定申告はスマホ、旅行の旅館もスマホしかあかんという。
なにが何だかわからん
いろいろ押したけどコンランしてしもうた。
AIがなんとか。
一言さん なんとかしとくなはれ、
河内のおっさん、生きていかれへん。

土曜の夜、すし屋に入る。 注文はタブレットでせえと言う。 まぐろ たこ いか ポンポン押したのはええが 生ビールまちごうてワイン押してもた。 確定申告はスマホ、旅行の旅館もスマホしかあかんという。 なにが何だかわからん いろいろ押したけどコンランしてしもうた。 AIがなんとか。 一言さん なんとかしとくなはれ、 河内のおっさん、生きていかれへん。

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土曜の夜、すし屋に入る。 注文はタブレットでせえと言う。 まぐろ たこ いか ポンポン押したのはええが 生ビールまちごうてワイン押してもた。 確定申告はスマホ、旅行の旅館もスマホしかあかんという。 なにが何だかわからん いろいろ押したけどコンランしてしもうた。 AIがなんとか。 一言さん なんとかしとくなはれ、 河内のおっさん、生きていかれへん。
日本郵便大賞

市川道代さん (90歳/東京都)

旧満洲の九月はあっと言う間に真冬に入った。
咲き乱れていた花々は、氷り始めた沼の中に次々と引き込まれ、蒲の穂だけが最後まで立っていた。
日毎に氷は厚くなり、子供達は氷の中を覗き込み、喚声を上げながら走り廻る。
氷の中に咲き乱れた花々の景色を眺めては、その美しさに誰もが息を呑んだ。
もう一度覗きたい。
あの美しい氷の中を。

旧満洲の九月はあっと言う間に真冬に入った。 咲き乱れていた花々は、氷り始めた沼の中に次々と引き込まれ、蒲の穂だけが最後まで立っていた。 日毎に氷は厚くなり、子供達は氷の中を覗き込み、喚声を上げながら走り廻る。 氷の中に咲き乱れた花々の景色を眺めては、その美しさに誰もが息を呑んだ。 もう一度覗きたい。 あの美しい氷の中を。

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旧満洲の九月はあっと言う間に真冬に入った。 咲き乱れていた花々は、氷り始めた沼の中に次々と引き込まれ、蒲の穂だけが最後まで立っていた。 日毎に氷は厚くなり、子供達は氷の中を覗き込み、喚声を上げながら走り廻る。 氷の中に咲き乱れた花々の景色を眺めては、その美しさに誰もが息を呑んだ。 もう一度覗きたい。 あの美しい氷の中を。

ゆうちょ銀行大賞

ゆうちょ銀行大賞

河野那津さん (11歳/奈良県)

一言主の神様へ
神様、どうかこの手紙は読まないで下さい。
でもどうかかなえて下さい。
私は小学六年生。反こう期まっただ中、来年中学生になります。
でもお母さんの事が大好きです。
自分の部屋があるけど、ずっと一緒にねたいんです。
クラスの子は一人でねてるし、自分でもはずかしいと思っている。
こんなことはずかしくてだれにも知られたくありません。
私の願いを聞かないでほしいけど聞いて下さい。
でもぜったいだれにも言わないで。

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ゆうちょ銀行大賞

木部拓海さん (25歳/東京都)

今日も23時過ぎに退社する。
観たかったテレビは終わっているし、行きたかったお店も閉店している。
仕事は好きだ。
でも色んなものが犠牲になっている気がしていて、何となく寂しい。
準備中の看板。スイーツの無い商品棚。売り切れていたライブのチケット。
数時間前に盛り上がっていたグループLINE。
ひと気の無い夜道が、孤独をさらに加速させる。
今日は小望月なのに姿が見えない。
ままならないようなあ。
明日は満月。晴れますように。

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ゆうちょ銀行大賞

内藤まゆこさん (46歳/東京都)

引越の荷造中、夫の引き出し奥に挟まった手紙を見つけた。
差出人は義父。他界しており、私は会った事がない。
「前略 連絡有難う。
結婚式四百万、結納金百万、計五百万 
用意して有るので、三十歳前に結婚して下さい。
(孫の顔を見ないで死ねない)
そろそろ競馬をやめなさい。貯金をして下さい。」
お父さん、息子さんは47歳で私と結婚、子供はいません。
競馬も相変わらずやっています。
でも自分の店を持って25年、立派に頑張っていますよ。
私達を見守っていて下さい。

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ゆうちょ銀行大賞

政倉敏彦さん (64歳/大阪府)

来月で2才になる孫に誕生石のペンダントを買いました。
店員さんからプレンゼントされるのはおいくつぐらいの方ですかと聞かれ、
事情と思いを伝えました。
2才になる孫であること、
私が進行した膵がんを患っており、
来年の誕生日にはプレゼントが叶わない様なので、将来を夢みて贈りたい。
店員さんは全てのサファイアのペンダントを出してくれました。
その中から1つを選びました。
気立てのいい娘に育ち、いつの日か笑顔と共に輝くことを願って。
2024年8月吉日

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ゆうちょ銀行大賞

我妻啓一さん (69歳/山形県)

青虫、君がキャベツが好きなのはよく知っている。
早く大きくなって飛び回りたいのも知っている。
でも、私もキャベツを大事に大事に育てている。
ここはひとつ折衷案でどうだ。
食べるなら数を絞り、
同じキャベツを食べてもらうことはできないか。
食べるなら食べ切って欲しい。私も助かる。

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ゆうちょ銀行大賞

持田正行さん (73歳/埼玉県)

「お兄さん、これもシール貼ってよ。お願い」
80歳代のおばあちゃんが、73歳の私をお兄さんと呼び
380円の弁当を差し出す。
夕方の惣菜売場でのシーン。
「まだ30分前だよ。まだ早いよ」と私
「いいじゃないか バスの時間が無くなるよ。年寄りのたのみは聞くもんだよ」
年金生活者にとって値引きシールは神様。
私は、75歳定年のアルバイト。
後、2年間、ばあちゃんの願いを、かなえ続けよう。

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ゆうちょ銀行大賞

清水良子さん (83歳/岡山県)

私 齢83才2本杖
猛暑ラーメン食べに街へ出る。
暖簾くぐるとBGMにジャズが流れていて心も踊る
私は無類の豚骨ラーメン好き
タブレットでの注文は昭和生れには難しい 
時代の流れは麺がのびるより早い。
麺はバリカタ店員さんの笑顔もプラス調味料
テーブルの上に香りをのせてラーメンが飛込んで来た
スープ一口「WOW!!」
いつも変らぬ味 替玉追加 今後も御洒落して思いきり生きたい
食べれる喜びを人生旅行の鞄に詰める。

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かんぽ生命大賞

かんぽ生命大賞

中村悠希さん (11歳/栃木県)

お母さん、ぼくはすごい事に気がつきました。
好きな事をしていると、
あっという間に時間がすぎて、
きらいな事をしていると、
いつまでたっても時間がすぎません。
ぼくの好きな事は、かなへびを追いかける事。
きらいな事は、お母さんの洋服選びにつき合う事。
お母さん頼みまーす。

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かんぽ生命大賞

中園洋凪さん (31歳/鹿児島県)

「私と結婚してください」
アラサーの私は待ちきれなくて、
指輪の代わりにアップルウォッチで自らプロポーズ。
あなたが一瞬固まって、
「バレンタインだから俺もなぎちゃんにチョコレート買ってきた」と、
焦ったように話をそらしたとき、失敗を覚った。
絶望の中、チョコレートの箱のリボンを解いて開けてみる。
そこにはキラキラ光るダイヤの指輪。
涙がとまらなかった。
同じ気持ちでいられた奇跡が
この先もずっと続きますように

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かんぽ生命大賞

大原龍一さん (36歳/東京都)

僕の姉は全盲だ。
親は僕に姉の目になってほしいと願い、
僕も全力で応えていた。
マラソン大会では姉を引率し、
姉が自転車に乗りたいといえば姉の補助をかってでた。
月日がたち姉が婚約者を紹介してきた。
なんと彼も全盲。
内心心配でたまらなかった。
だけど驚くことに全盲の彼は見事に姉の目になっていた。
人はどんな状況でも強い気持ちでなんでもカバー出来るんだ。
姉ちゃん、これからは旦那さんと幸せにやってくんだよ。

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かんぽ生命大賞

槻 市太郎さん (51歳/富山県)

母が世話になっているデイサービスで、
私が有名人になっている様です。
身体が不自由で、物忘れもありますが、
昔のことは鮮明に覚えており、
職員さんに私のことを沢山話されるとのこと。
曰く、
「小学校までおねしょしていた」
「学校のガラスを割って呼び出された」
「受験に失敗して長いこと落ちこんでいた」など。
手のかかる息子だったと反省しています。
せめて、何か一つでも、
良かったことを思い出して下さい。
足が速かったこととか。

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かんぽ生命大賞

千原裕之さん (60歳/北海道)

暑い夏の一日、帰省した息子とオヤジの遺品整理。
太平洋戦争当時の写真が幾葉も貼られた古いアルバム。
その中に、昔、オヤジが懐かしそうに見ていた歳の離れた長兄の写真。
末っ子のオヤジはその兄にとても可愛がられたという。
椰子の木にもたれた笑顔の写真の裏には、ラバウルにての文字。
激戦の島、そこで戦死。
手伝っていた息子は「古い写真って資源ゴミ?」と嘯く。
わたつみの聲、戦争を知らない世代にしっかり伝えたい。

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かんぽ生命大賞

川浪みつさん (71歳/青森県)

天国の扉を開けた瞬間 
あなたは101年の生涯で一番の衝撃を受けた事でしょう。
施設を終の棲家と決め 
あなたは弟家族の家を出た。
以来、一度も会う事のないまま、
元気に暮らしているものと信じてきた
息子の姿をそこに見たのですから。
「あどいんだばって、神様今年も、わと、生がすんだど。」
あなたはよく言ってたね。
1人の部屋で涙するあなたをみてきた娘は、
98才の母より先に逝った弟の事を
どうしても伝える事ができなかったのです。許してね。
(母の言葉は津軽弁で、もういいのに神様は今年も私を生かすそうだ、という意味です)

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かんぽ生命大賞

西村厚子さん (75歳/北海道)

北海道の小さな町で戦後私の両親は五足の下駄を元に小さな店を始めた。
日本は平和と復興の始まり。
早回しビデオの様に店はお客と商品で溢れた。
それから75年。
町は限界潗落となり誰も居なくなった。
そこに一軒だけ店がある。
店主は百才の私の母 
変化する時代の中で変らず生きてきた母。
まるでこの町で輝いた人達に生かされている様に 
毎朝8時に店の床を掃いて一日が始まる
もうしばらく変らぬ母の時間を見ていたい

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郵便名柄館賞

郵便名柄館賞

森下佳音さん (10歳/兵庫県)

保育士になりたい。
でも、私は一年生のころから教室に入ると声が出なくなる。
話したいことはいっぱいあるのに。
家ならたくさんしゃべれるのに。
金しばりにあったかのように口が動かない。
保育士は明るく歌ったり元気な声で話したりする仕事だ。
弟は「向いてないんじゃない。」と言う。
でも私は諦めない! 
勇気の扉をこじ開けていくんだ。
夢を実現して「がんばれば何でもできる」と言う言葉を、私の声でみんなに届けたい。

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郵便名柄館賞

角田 拓さん (16歳/鹿児島県)

お母さん、僕が、喜界島に高校から珊瑚留学して一年が経ちました。
寂しい、寂しい、と泣いていたお母さん涙は、止まりましたか?
僕は、お母さんの涙のように美しい海のそばで日々学んでいます。
この島の美しさが、未来へとつながることを願い
一生懸命珊瑚の研究にはげんでいます。
僕の小さな一歩が環境保全に役立ちますように
願いを込めて留学を後押ししてくれたお母さん
ありがとう

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郵便名柄館賞

岡田 望さん (31歳/愛媛県)

娘があの日の私と同じ年になった。
学校がとにかく嫌いだった。
人と関わるのが辛かった。
何度も何度も逃げる自分が大嫌いだった。

娘は学校が大好きで毎日楽しそうだ。
人も大好きだ。

「生きることをやめない」と決めたあの夏の日から20数年。
ああ、生きてきてよかった。
きっとこの笑顔を見るため
たくさん方向転換して進んできたんだ。

今逃げ出したい人にも あの時 方向転換してよかった、
生きてきてよかった、
と思える日がくることを願っています。

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郵便名柄館賞

福田 宏さん (47歳/青森県)

12年前、私は腎臓病で死にかけた時に、
母の腎臓を移植して助かった。
その母も4年前に亡くなった。
しかし病院で検査の日には、母の小さな命が数値となって現れる。
それを見るたびに、母は私の体の中で生き続けているのだなぁと実感する。
母は生前、昼も夜も働いていた。
もはや腎臓だけの姿となっても、母はよく働き、私の健康を保ってくれている。
これからも私の体内で、小さな母はずっと元気でいてほしい。

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郵便名柄館賞

岡谷公美さん (55歳/広島県)

お空のお義母さんへ
退職を機に空き家になっていた夫の実家に夫婦で移り住んで3年。
誰一人知り合いのいない土地での生活は不安だったけど
会う人会う人が
「お義母さんにはお世話になったけんね」
「いつもようしてもうた」
なんて風に話しかけてくれ、私たちは小さな町の輪の中に入ることができました。
人の優しさや思いやりって世代が変わっても繋がっていくんですね。
私もお義母さんからもらったバトンを次の人に繋げられますように。

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郵便名柄館賞

東久保真弓さん (58歳/兵庫県)

短大時代の仲良し四人組のひとりから連絡があり
バレエの発表会に出るので観に来てという
いつからやってたん? 大丈夫?
不安な気持ちを抱えつつ三人で出掛けた
心配な私達は客席で前のめり
足を上げる度にヨイショと言いたくなる
優雅な白鳥にもティンカーベルにも見えないが
ピンスポットの中の彼女は輝いて見えた
ようやった ようやった
泣けた 嬉しくて頼もしくて泣けた
勇気もろた 来年還暦 
やりたい時がやる時 
死ぬまで 好きなこと やってこ!

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郵便名柄館賞

池田紀美子さん (58歳/富山県)

能登半島地震で住宅が半壊。
小5の時「家がボロボロで恥しい」と言う私の為に無理をして建ててくれたのにね。
「これからどうしたら良い?」と毎日話し掛けても母の遺影は、無言でただ優しく微笑むだけ。
そんな時「自分の思い通りにならないのが人生なのよ」と
波乱万丈を気丈に生き抜いたあなたの励ましの言葉が鮮明に蘇ってきます。
お母さん、今後ここを離れる選択をしても許してね。
駄目な私を時々夢の中で叱りに来て欲しい。

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郵便名柄館賞

齋藤晴美さん (61歳/兵庫県)

施設で暮らす母に送る衣類に、一枚一枚ひらがなで丁寧に名前を書いています。
ふと、私の幼き日のことを思い出しました。
私の小学校入学を前に、さんすうせっとのおはじきや、教科書やノートに
母が一つ一つひらがなで丁寧に名前を書いてくれた光景が蘇ってきました。
あれから五〇年以上経って、
今度は私が母の名前を書いていることに深い感慨を覚えます。
母はもう、それを思い出すことはないでしょうが、
静かで穏やかな毎日を送れることを祈っています。

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郵便名柄館賞

狩谷正一さん (66歳/石川県)

『子供はいるのか』
九一歳の認知症の父が 
とうに還暦を過ぎた離れて暮らす私に
そう聞いたのが一昨年の春。
『孫もいるよ、父さんのひ孫だ』
『そろそろ所帯を持ったらどうだ』
『就職はしたのか』
症状が進むにつれ 若返っていく私。
『寝返りは打てるようになったか』と聞いてくるまで
長生きしてほしい。

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郵便名柄館賞

鬼形輝雄さん (78歳/群馬県)

今年も妙義山麓の田んぼに
稲穂が青くスッと伸びて無数の可憐な白い小花が付き始めた。
腰を曲げてそっと覗くと
小花は妖精となって今にもピョンピョン踊り出すようだ。
かわいいなあ、君たち。
それにしても最近、離農する人が出てきて空き田んぼが目立ってきた。
弥生の昔から連綿と続く日本人の稲作。
米は日本人の主食だ。
ピョンピョン踊る妖精たちをこの先ずっと見ることができる日本の国でありますように。

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